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メディカルサービス法人

メディカルサービス法人  32

 (ロ) 所得税法第157条の適用の可否

  所得税法第157条の適用にあたっては、株主等の所得税の負担を不当に減少させる結果となることが要件とされていますが、本件の場合、不当に減少させる結果となるかどうかの基準とした同業者比準には、合理性が認められないことから、これによって本件外注費が請求人の所得税の負担を不当に減少させるとして、所得税法157条を適用した本件更生処分は、法令の適用を誤ったものと認められる。

 以上のとおり、請求人のその他の主張を判断するまでもなく、本件更生処分はその全部を取り消すべきである。

メディカルサービス法人  31

 (B) 事業規模等

 本件比準同業者は、A社とは事業規模等においてかなりの差異が認められる。

 以上のとおり、本件比準同業者4件は、事業内容、事業規模等において相当な類似性を備えているとは認められない。

 したがって、比準同業者としての基礎的要件に欠けるものから算定した本件倍率はその合理性が認められないことから、本件倍率を基礎とする認定外注費に比べて本件が外注費は著しく高額であるとした原処分庁の主張は採用できない。

 

 

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 B 本件比準同業者

 原処分庁は、認定外注費を算定するために比準同業者を採用しているが、同業者比準の方法による場合、比準の対象となる割合等の信頼性を担保するには、比準同業者と同族法人とに事業内容、事業規模等において類似性が必要であるとされている。

 ところで、当審判所が本件同業者4件について、その適否を検討したところ、次のとおりである。

(A) 事業内容

 本件比準同業者の事業内容は、従業員を契約先企業等に派遣して収入を得ている人材派遣であり負担する費用も限定されているが、A社の業務内容は、前記Aのとおり、請求人の病院の業務の受託であることから、事業内容において、事業内容において、A社と本件比準同業者には個別条件の相違を超えた違いが認められる。

 

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 B 本件比準同業者

 原処分庁は、認定外注費を算定するために比準同業者を採用しているが、同業者比準の方法による場合、比準の対象となる割合等の信頼性を担保するには、比準同業者と同族法人とに事業内容、事業規模等において類似性が必要であるとされている。

 ところで、当審判所が本件同業者4件について、その適否を検討したところ、次のとおりである。

(A) 事業内容

 本件比準同業者の事業内容は、従業員を契約先企業等に派遣して収入を得ている人材派遣であり負担する費用も限定されているが、A社の業務内容は、前記Aのとおり、請求人の病院の業務の受託であることから、事業内容において、A社と本件比準同業者には個別条件の相違を超えた違いが認められる。

 

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 (イ) 同業者比準等

 原処分庁は、①本件請負業務は、契約書及びその実態からみて、実質的に単純労働者の人材派遣業務である、②同族関係間にない通常一般の人材派遣業に係る本件倍率から算定した認定外注費に比べて、本件外注費は著しく高額である旨主張していることから、これらについて審理したところ、次のとおりである。

 

 A 本件請負業務

  本件契約書の第2条及び業務仕様書によれば、A社から派遣された従業員は、派遣先である請求人の病院において診療行為を除く診療行為を除く各種の業務に従事していることが認められ、この面に限れば、本件請負業務の内容は、一般的な人材派遣の形態であるといえなくはない。

 しかしながら、本件契約書の第4条及び第5条では、業務に係る費用の負担について定めており、A社は本件請負業務を実行するにあたり、派遣従業員に係る賃金等以外に賃金等の約3割ないし5割相当の水道光熱費、備品消耗品等の費用を負担していることが認められる。

 これらの実態からみると、A社は、本契約書に基づいて、病院の診療行為を除くほとんどの業務を遂行するために必要な役務の提供及び諸費用の負担を行なっているものであり、このような形態は、一般的な人材派遣にとどまらず、A社が請求人が営む病院の業務全般の委託を受けていると考えるのが相当である。

 したがって、本件請負業務を単純労働者の人材派遣業務であるとした原処分庁の主張は、採用できない。

 

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 また、株主等の所得税の減少の不当の評価については、同族会社の行為又は計算が、同族会社以

外の会社との間における通常の経済活動としては不合理又は不自然で、少数の株主等によって支配さ

れる同族会社でなければ通常は行なわないものであり、このような行為又は計算の結果として同族会

社の株主等特定の個人の所得税が減少する場合には、特段の事情がない限り、所得税の減少自体が

一般的に不当と評価されるべきものと解されている。

 なお、所得税法第157条の適用要件である所得税の負担を不当に減少させる結果となるか否か

の判断の方法としては、独立かつ対等で相互に特殊な関係にない当事者間での通常の取引と同族

会社の行為又は計算を比較する同業者比準の方法は、その合理性が認められているところであり、

この点に関して請求人及び原処分庁双方に争いもないことから、当審判所は、原処分庁が採用した

同業者比準の内容の適否について、以下審理する。

 

       審理内容につきましては、次回以後でご案内いたします。

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 ロ 所得税法157条の適用

 

 請求人は、①本件請負契約は業務の包括的委託契約であり、同業者比準方式に用いる同業者

は、A社と業務内容、事業規模、収入金額等が類似する法人とすべきであり、本件比準同業者は

この要件を欠いている、②本件外注費の額は適正に算定していることから、所得税法157条を適用

したことは違法である旨主張する。

 ところで、所得税法157条によれば、①同族会社の行為又は計算であること、②これを容認した場

合には、その株主等の所得税の負担を減少させる結果となること、③その所得税の減少は不当と評

価されるものであることという三要件を充足するときは、その同族会社の行為又は計算にかかわら

ず、税務署長は、正常な行為又は計算を前提とした場合の当該株主等に係る所得税の課税標準等

又は税額等の計算を行い、これに基づいて更正又は決定を行なうことができるとされている。 

 

メディカルサービス法人  26

 (2)本件更生処分について

 

 イ 更生処分の手続き

 

 請求人は、調査担当職員が、調査もせずに断定的に調査担当職員の主張を認めさせようとしたこと

は違法である旨主張する。

 しかしながら、当審判所の調査によれば、本件調査は所得税法第234条に規定する質問検査権

に基づき適正に行なわれたことが認められ、その点において、本件調査に違法はない。

 更に、当審判所の調査によれば、調査担当職員は関与税理士に面接するために相当な方法を採

っているにもかかわらず、関与税理士がそれに応じていないことが認められ、このような状況の中で

調査担当職員が請求人に直接調査に関する事項等を説明しようとしたことは何ら不相当とは認めら

れず、その点において、本件調査に違法はない。

 したがって、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。

メディカルサービス法人  25

 ハ A社と請求人との間で本件契約書を交わした行為は、同族会社の行為又は計算に当たる。

 

 ニ 請求人は、当審判所に対し、「A社との請負契約の内容は、簡単に言うと病院で行なう業務のう

ち、私が行なう業務以外のすべてです。」と答述しており、医療行為以外の業務はすべてA社の派遣

従業員に従事させている。

 

 ホ 本件契約書の第4条において、本件請負業務に必要な機械、器具等はすべてA社の負担で準

備し、消耗品、機材等もA社が負担することになっている。

 なお、各年分においてA社が負担した本件請負契約に係る費用は、別紙のとおりである。

 

 ヘ 本件倍率の計算基礎となった本件比準同業者の収入金額は、いずれも人材派遣業に係るもの

であり、本件比準同業者が負担している費用は、派遣した従業員の賃金及び法定福利費のみであ

る。

 

 ト 本件比準同業者のうち3件は、収入金額がA社の収入金額2倍以上あり、また、残る1件は、人

材派遣業のほかに業務受託、マネキン等の紹介業、パソコン教室等の業務を行なっており、人材派

遣にかかる収入金額が総収入金額に占める割合は、13%ないし17%である。 

 

 

 

メディカルサービス法人  24

 3. 判断 

 

 本件は、本件更正処分に係る手続の違法性の存否及び所得税法第157条の適用の可否について争いがあるので、以下審理する。

 (1)認定事実

  原処分関係資料及び当審判所の調査によると、次の事実が認められる。

 イ 調査担当職員は、当審判所に対し、本件調査の状況について次のとおり答述している。

  (イ)請求人の自宅において、請求人に対し、本件請負金額の計算根拠となっている人件費の倍

   率について質問した際に、「税理士でないと分からない。」というような回答があったため、A社

   の役員であれば、契約内容を理解しているはずであり、本人自身が分からないというのはおか

   しいという意味で「ペーパーカンパニー」という言葉を使用したと記憶している。

  

  (ロ)調査内容について請求人に説明する目的で請求人に電話をかけた。

     請求人に直接電話した理由は、①この時期には、関与税理士から調査に対する抗議が続い

   ていたため、関与税理士とは面接できないと考えた、②関与税理士とは、以前に面接の約束を 

   破られたりいろいろな理由をつけられて、調査期間中に一度も面接できないという通常では考え

   られない状況にあったことから、これについても請求人に伝えたかった。 

 

  ロ 調査担当職員は、関与税理士から委任状が提出された以降数回にわたり、関与税理士と面

   接すべく、事務所への臨場及び電話での連絡を行なっているが、面接には至っていない。

    特に、税務署内での面接を約束していたが、関与税理士は連絡もせず出署しなかった。

 

      判断につきまして、次回以後に続きます。

メディカルサービス法人  23

 (2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの採決を求める。

イ 本件更正処分について

 (イ) 更生処分の手続き

   原処分は、所得税法及び国税通則法(以下「通則法」という。)の規定に基づき適正に行なわ 

 れており、何ら違法な点はない。

 (ロ) 事業所得の金額等

  A 原処分庁が調査したところ、本件請負業務は、契約書及びその実態からみて次の事実が認

 められ、実質的に単純労働者の人材派遣業務であると判断される。

  (A) 請求人とA社で契約している業務内容は、前記1の(2)のロのとおりである。

  (B) A社から派遣される従業員には、資格を持った者はいない。

  (C) 本件請負金額の算定根拠となっているのは、「人件費」である。

  B 請求人がA社に対して殊更に高額な外注費を支払うべき合理的な理由も認められない。

 

        次回は、  判断についてお伝えいたします。 

メディカルサービス法人  22

 (ロ)本件外注費の額は、次の理由から適正である。

 

A  A社が請求人に派遣している従業員の人件費の額に対する請負金額の比率は、1.59倍ないし

1.77倍であり、A社のような小企業のサービス業種の統計上の人件費対売上高比率の平均倍率の

範囲内である。

B  請求人は、適正な外注費を算出する方法として、次の統計資料に基づいた人件費対請負金額

の比率を考慮した。

  (A)「小企業の経済指標」(国民金融公庫総合研究所編)によれば、小企業の人件費の額対売

上額の平均値は43.6%ないし44.0%であり、したがって、人件費の額対売上額の平均倍率は2.27

倍ないし2.29倍である。

 

                次回は、原処分庁の主張を述べていきます。

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 2. 主

 

 原処分庁は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。

イ 事業所得の金額

 (イ)原処分庁は、所得税法第157条を適用して事業所得の金額を算定しているが、次のとおり、

原処分には、その内容に誤りがある。

 なお、原処分庁が採用した同業者比準方式は争わない。

 

  A 本件外注費は、業務を包括的に委託したことの対価であり、外注先のA社はメディカルサービ

ス法人であることから、同業者比準方式で用いる同業者はA社と業務内容、事業規模、収入金額等

が近似する法人とし、それらの法人の平均値で本件外注費が適正か否かを判断すべきである。

  B 本件倍率は、信頼できる統計数値とあまりにもかけ離れており、本件比準同業者は、「業務

内容、事業規模、収入金額等がA社と近似する同業者であること」を完全に欠落させていると見ざる

を得ない。

  C 本件倍率で請負金額を置き換えた場合、A社の決算では高額の欠損が生じることからも、本

件比準同業者がA社と異業種であることが明らかである。

 

                     (請求人の主張は次回に続きます。) 

メディカルサービス法人  20

 ハ 請求人は、各年分の事業所得の収支内訳書に、本件契約書に係る支払金額(以下「本件請負 

金額」という。)を外注費(以下「本件外注費」という。)として、事業所得の金額の計算において必要

経費 に算入している。

 

 ニ 本件請負金額は、契約期間に対応する前年同期間のA社が派遣した従業員に係る給与支給

 金額(以下「基礎給与額」という。)に、請求人とA社とが算定した倍率を乗じて計算されている。

 

 ホ 原処分庁は、請求人が必要経費に算入した本件外注費が、同族関係にない通常一般の取引

 を行っているA社の同業者(以下「本件比準同業者という。)の人材派遣倍率(本件比準同業者の 

 派遣した従業員の人件費等の額を分母とし、派遣先からの収入金額を分子とした倍率の平均値を

 いい、以下「本件倍率」という。)に基礎給与額を乗じて計算した相当な外注費の額(以下「認定外

 注費」という。)を超えるとして、所得税法第157条(同族会社の行為又は計算の否認)第1項の規

 定に基づいて、その超える額については各年分の必要経費には算入を認められないとして更正処

 分をした。  

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 今回から、メディカルサービス法人に関する税務判例のご紹介をさせていただきたいと思います。

 

 事例は何件かございます。1件づつの事案も概要から、それぞれの主張、審判所の判断等を何回かに分けて記述させていただきたいと思います。

 

  【 1 】MS法人と医療機関との取引  その①

    MS法人に支払った業務委託料について

  1. 事案の概要   

  本件は、医療保険業(個人病院)を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が同族会社である

有限会社A(以下「A社」という。)に支払った外注費の額を認容した場合、請求人の所得税の負担を

不当に減少させる結果となると認められるか否かを争点とする。

  

  (1) 審査請求に至る経緯

  イ  請求人は、各年分の所得税について、いずれも法定申告期限までに申告した。

  (2)基礎事実

    以下の事実は請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事

  実が認められる。

  イ  A社は、請求人の親族が全額出資している法人税法第2条(定義)第10号に該当する同族

  会社であり、請求人は当該法人の取締役である。

  ロ  請求人とA社は、各年分において請求人の業務に関する請負契約(以下「本件契約書」とい

  う。)を交わしている。

    なお、A社が請求人に対して行う業務(以下「本件請負業務」という。)は、本件契約書の第2 

   条に定められており、同契約書の業務仕様書によれば、次のとおりとなっている。

  (イ) 病院の電話、受付、来客案内業務補助、電算入力業務、請求書・領収書整理、保険請求

   業務、患者負担分の請求業務、銀行等への入出金業務、会計・経理業務等。

  (ロ) 不動産の管理

  (ハ) 病院の車両運転及び管理、駐車場管理及び院内の営繕

  (ニ) 院内の清掃、クリーニング

  (ホ)上記に付帯する一切の業務  

                  →  事案の概要につきましては、次回に続きます。

 

メディカルサービス法人  18

   医療機関とMS法人の取引

 

 1.法人格否認規定

 医療機関が関連する同族会社に不相当に高額な管理委託料又は、不動産の賃借料を支払った場合に、収受する側の同族会社は、外部委託との比較においては、当該医療機関の所得は同族会社の介在により分散されることになりますが、この場合の同族会社への収入を医療機関の収入と同視(支出の否認)するとすれば、同族会社の法人格を否認する規定と解するに等しいこととなり、このような法人格否認規定は考えられないことになります。

 

  2. 立証責任

  医療機関と関連する上記1について同族会社との取引における不相当に高額な取引の立証責任は、その行為が不相当に高額な取引と主張する側(課税庁)にあると考えられます。

  

メディカルサービス法人  17

 5. 医療法人への無利息貸付との関係

 

 例えば、医療法人の理事長が医療法人に多額な資金を無利息で貸し付けた場合には、医療法人の理事長に次の問題が生じることになります。

 

  ① 所得税法  36条

  その年において収入すべき金額

  

  ② 所得税法  157条

  同族会社の行為計算の否認について考察してみますと

 

   ① については、当該医療法人と理事長との間で無利息貸付の合意がなされていることから、 

   所得税法36条①のその年において収入すべき金額はないことになります。

   ②については、上記の説明のとおり、医療法人には適用されないことから、本件テーマは問

   題の生じる余地がないものと考えられます。

 

   

 

メディカルサービス法人  16

 4. 「同族会社とは営利を目的とした同族会社です。」

 同族会社の行為計算の否認

 この規定の適用となるのは、あくまでも営利を目的とする会社をいい、会社以外の公益法人等は除かれるものと考えられます。

 

 1. 事業の性格から  公益性のある法人は、公益法人、医療法人(中間法人)となり一般の会社とは区別されることになります。

 

 2. 事業内容(医療法人)は、収益事業以外の法人であり公益事業を行なっているものと考えられます。

 

  以上のことから、医療法人は同族会社の行為計算の否認規定の適用はないことと考えられま 

 す。

メディカルサービス法人  15

 (2)法人税法132条は、経済的不合理性に着目していることから、所得税法157条の創設規定と同義語として断定するには、やや問題が生じるかもしれませんが、同族会社という、税法上の用語解釈が所得税法と法人税法で異なることも不自然と考えますと、「同族会社の行為計算の否認」規定は過去の論争から離れ、創設規定すなわち同族会社のみに適用されると解釈すべきでしょう。

メディカルサービス法人  14

 3.同族会社の行為計算の否認規定

 

 (1)所得税法157条の要件としては、同族会社の行為計算の規定は、創設規定であるとして、明

 確にされました。すなわち、次の3要件を充足するとき

 ① 同族会社の行為又は計算であること。

 ② その行為を容認した場合に、所得税の負担を減少させる結果となること。

 ③ その所得税の減少は、不当に評価されるものであること。

  このように明確になることにより、本件所得税法157条は医療法人には適用されないことが明確 

 になりました。

 

メディカルサービス法人 13

  同族会社行為計算の否認と医療機関

 

 2. 同族会社の行為計算の否認の主旨

 (1)法人税法

  法人税法132条は、同族会社である法人が法人の益金の減少又は損金の増加により法人税を不当に減少させる行為すなわち経済的不合理な行為に着目している。

 (2)所得税法

  所得税法157条は、株主等と同族会社(法人税法2条十で規定する同族会社)との間の取引で、株主等に帰属すべき収益を同族会社に帰属させる行為、すなわち、独立当事者間取引に着目している。 

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 同族会社行為計算の否認と医療機関

 

 1.同族会社の定義

 法人税法弟2条十号で同族会社とは会社の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)の3人以下並びにこれらと特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済み株式の総数又は出資金額(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の50/100を超える数の株式又は出資の金額を有する場合におけるその会社をいいます。ここでは、主語が「会社の」ということであり、医療法人は会社とは切り離されることから、この同族会社には該当しないこととなります。

メディカルサービス法人  11

  MS法人と医療法人の資本関係 (2)

 

  医療法人                                医療法人の役員

    ↓  100%(株式等を)所有(医療法人の役員所有を含む) →       と

  MS法人                              MS法人の役員が同一人

 

  そもそも医療法人が出資持分有もしくは出資持分無にかかわらず、

    子法人を所有することは医療法54条(剰余金の配当禁止)により認められない。

    すなわち、これを認めるとするならば、

   ①医療法人の営利活動を認めることとなる。

   ②出資持分無の医療法人が出資持分有医療法人の出資金をM&Aにより取得することは、

     出資持分なし医療法人が一部分出資持分有医療法人に変更可能を許すこととなり、

     医療法施行規則30条の39②後戻り禁止規定を認めることとなる。

 

      以上のことから医療法人の子法人化は認められないのである。

メディカルサービス法人  10

  MS法人と医療法人の資本関係 (1)

 

 MS法人               →       出資持分有り社団医療法人 

       100%出資金所有(MS法人の役員所有を含む)     ↓

                                 MS法人の役員が 

                                      ↓

                              医療法人の理事(業務執行者)

                              社員(議決権者=意思決定権者)         

                                           を構成

     営利法人による医療法人運営となるため認められません。

              

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  医療機関とMS法人の取引

 

 1.法人格否認規定

  医療機関が関連する同族会社に不相当に高額な管理委託料又は、不動産等の賃借料を支払った場合に、収受する側の同族会社は、外部委託との比較においては、当該医療機関の所得は同族会社 の介在により分散されることになるが、この場合の同族会社への収入を医療機関の収入と同視(支出 の否認)するとすれば、同族会社の法人格を否認する規定と解するに等しく、このような法人格を否認規定は考えられないことといえる。

 

  2.立証責任

  医療機関と関連する上記1について同族会社との取引における不相当に高額な取引の立証責任は、その行為が不相当に高額な取引と主張する側(課税庁)にあると考えます。

 

メディカルサービス法人  8

 営利を目的とする法人と医療法人との関係

 

 医療法人の非営利性をより鮮明に鮮明にするため、医療法人の役員等が株式会社など営利を目的とする法人の役員等を兼任している場合であって、かつ、当該営利法人から当該医療法人が資金の支援等を受けている時は、当該医療法人は関連する営利法人の名称等を開示するものとします。

 そうすると、医療法人と本件MS法人の取引において実務上の注意事項は次のように思料します。

 (1) 医療法人と本件MS法人間において、本件MS法人が医療法人に資金の支援(貸付金等)を  

    行なわないこと。

 (2) 医療法人の理事長は、本件MS法人の役員を兼任しないこと、及び本件MS法人への資本 

    の拠出をしないことが望ましい。

 (3) 可能な限り、医療法人と本件MS法人の役員を兼任しないことが望ましい。

             (東京弁護士会会長宛厚生省健康政策局指導課長回答) 

 

 

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 (3) 業務委託(又は請負)契約書

 医療保険業を営む者(医療法人又は個人開業医)と法人税法に規定する同族会社とは、業務委託又は業務請負に関する契約書を必ず整備しておく必要があります。

 双方の業務内容や誠実義務、業務内容、情報開示及び守秘義務の厳守等記載しておく必要があります。

 双方2通作成の上、記名・押印をしておく必要があります。

 また、契約期間、契約の効力発生日も記載しておきます。  

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 (2)MS法人の取引の概要

 ① 業務請負契約

   医療保険業を営む者(医療法人又は個人開業医、以下「甲」といいます)と法人税法に規定する 

  同族会社(甲の同族関係人が業務を行なう法人、以下「乙」といいます)との取引が主たる業務で 

  ある請負契約

 ② 業務委託

   ある一定の業務について、乙が請負うことにより乙の従業員は甲の管理・監督下にはなく、当 

  該業務の指示、管理・監督は全て乙によって行なわれます。

   

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 MS法人との取引

(1)MS法人の契約形態

 医療機関とMS法人とは何らかの契約形態をとる必要があります。

 「請負」とは、外部の請負会社(MS法人)に、一定の業務を独立的に丸ごと請け負わせる委託の形態をいい、請け負ったMS法人は、必要な要員を監督者も含めすべて派遣し、請け負った業務の全責任を負うことになります。

 「派遣」とは、業務請負の偽装的な形をとりながら、作業指示を医療機関の職員がMS法人の職員に行なうということです。

 「出向」とは、職員がMS法人および医療機関の双方に雇用契約を結ぶこととになり、MS法人から医療機関に出向くことをいいます。

メディカルサービス法人  4

  医療機関のMS法人活用

 

 医療機関とMS法人の関係については、経過措置型医療法人いわゆる(旧)医療法人にあっては純資産を減少する一方法であり基金拠出型医療法人(新医療法人)にあっては純資産を極力少なくするための手法であります。純資産を小さくすることによって事業承継に伴う相続税法上の医療法人出資額の評価を小さくすることができ、結果相続税対策につながることになります。

 また、個人医療機関にあってはMS法人の活用により相続財産を妻に移行することが可能になります。ここに、MS法人の社長を妻とすることにより専従者給与の規定と役員報酬の規定とはその判定が異なることになります。

 MS法人が同族会社の行為計算の否認に抵触しないように顧問税理士との打ち合わせが重要になってくるでしょう。

 

 

 

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 3. 税負担不当減少について

  医療機関に対する課税は、原則として、税法の規定の下で選択した事業形態と所定の計算方法に応じたところの税法が適用されるべきものです。例えば、個人の医療機関とMS法人とは適用される税法を異にし、それぞれ全く別個の課税主体(そのもの)として規定されています。

 このことから、すなわち、個人としての医療機関である場合のMS法人の存在は所得税を課税主体としたところで税負担不当減少を考えることになります。

 次に、医療法人がMS法人を設立した場合には、法人税法はそれぞれの法人を独立して課税対象としており、法人格が別個である以上は、法人税の税負担不当減少の判断はそれぞれの法人を別個の課税対象として取扱うところで、判断されるべきであると考えます。

 

メディカルサービス法人  2

 2. MS法人に対する職員の認識

 医療機関からいわゆるMS法人へ移行する職員については、MS法人の設立目的を当該職員に伝え、納得のうえで自分の所属がMS法人に在ることを認識してもらう必要があります。

 すなわち、

 ① 給与の支払先の変更

 ② 社会保険の事業主の変更

 ③ 退職の勤務年数計算は医療機関分を通算して勤務年数を計算すること

 ④ 就業規則は医療機関分を準用する等を明確にすること

   などの必要があります。

 

メディカルサービス法人  1

 メディカルサービス法人(MS法人)とは、いわゆる設備法人や薬局法人などのように病医院の一部分の業務を専任するものではなく、診療業務以外の一切の業務を全て担う法人のことをいいます。

 1. 設立の主たる目的

 (1)医療直接部門と医療直接部門以外の管理部門等の分離により、医療直接部門の原価管理が容易になります。

 (2)医療直接部門以外の管理部門等を外部委託形式等にすることにより医療機関において一番厄介と考えられる労働管理を医療直接部門のみとし、医療直接部門以外の職員との労働管理(退職問題も含めて)問題について、医療機関の管理者(院長)のストレスを和らげることになります。

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